この日記で小学校時代の恩師築地久子先生について書いたので、思い立って検索してみましたら、先生について書かれた本を発見しました。
『築地久子の授業と学級づくり』
こちらに詳しい書評が載ってます。→【琉球大学>教育学部>学校教育講座>学校心理学教室>道田研究室 読書と日々の記録2001.08下 『築地久子の授業と学級づくり1』(落合幸子・築地久子)〜強力に指導して自立させる】
授業はほとんど討論が主体なのである。
しかもその討論,かなりレベルが高い。それは築地氏が4月から,明確かつ多段階の目標をたてて,討論を指導しているからだろう。たとえば,結論から話す(4月),わけや理由が話せる(5月),誰に話すのかというように相手を決めて話す(6月)という具合である(p.102)。
(中略)
情報を収集し,処理できる子どもを育てると同時に,人間としてのものの見方をメッセージとして伝えているのである。それは,他を大切にする,自分を大切にする,事実を見る客観的な目を持つ,強い願いをもつ,環境はすべて関わりあっている,というものである(p.215-217を要約引用)。
あぁぁぁぁ、なんかすっごい今でも影響を感じます。自分から課題を探す、自分に何ができるかを考える、誰かに言われたり、誰かが何かしてくれるのを待つのではなく、自分から動く、そういう態度を養ってもらったんだろうなぁと。
「こうなったらいいなぁ」「何でこうならないの」って文句を言いながら何もしない人って、いっぱいいて、私は今まで、そういう人たちは実は本気で変えたいと思ってないんだろうかと不思議に思ってたんですね。でも、そういう人たちは「変えられる」「変えよう」「自分で動いても良いんだ」「自分から動かなきゃダメなんだ」っていう姿勢を教えられることがなかったんだろうなぁと、やっと理解できた気がします。考えてみたら、学校教育では、あんまりそういうことを重視して教えてないもんなぁ。むしろ、言われたことをきちんとやる事は求められるけど。もちろん、それも大切だけど。
研究用の授業ビデオなんてのもあるようです。下手しなくても映ってるんじゃないだろうか、わたし。当時、研究授業の時に廊下で脚立の上でビデオ回してた人がいたような記憶があるぞ。。。って、研究授業ってもの自体、他の学校ではなかったりするんでしょうか。研究する授業ではなく、研究される授業ですね。学外から教育研究者とかが教室に入りきらないくらいわんさか集まって、その中で授業をするという、保護者参観日よりエキサイティングな行事でありましたよ。
私の出身小学校は、その築地先生の影響もあってか、その後もそういった教育を目指して頑張っているようで、こんな子がいたりします。ニュース見たとき、すっげ納得しました。
- 「歩きたばこはやめて」/中1の訴え市議会が採択
- 小学生の自由研究が行政を動かす! | 子だくさんの日常&手帳つれづれ話 - 楽天ブログ
- 彼は 小学四年の時に タバコの煙で喘息になり、小学四年から六年までタバコを自由研究の課題とし、歩きタバコ禁止条例を提案し続け、制定してもらえる事に。
【(同上)読書と日々の記録2001.10下 『実践・個を育てる力』(藤岡信勝編)〜何も言わずにクラス作り】
このような哲学と方法論に支えられた,(いろんな意味で)すごい授業であるにもかかわらず,授業者である築地先生は,私,そんな特別な教師ではありませんし,たいしたことをやっているとも思っておりません(p.237)とか,私のやり方は,特別な能力がなくてもできるからいいんだ(p.238)とおっしゃっている。これもいろんな意味ですごい。
いや、あの、すごい人でしたよ。何をおっしゃいますか、先生。……見てないけど、ドラマで「女王の教室」ってありましたよね。インパクトだけで言うなら、子どもにとってはアレくらい強烈でした(笑)。いやぁ、カッコ良かったですよーー。
『自立した子を育てる年間指導 築地久子の授業と学級づくり 2 』
【(同上)読書と日々の記録2002.01下 】
最後には,『学生参画授業論』のように,生徒(班)が授業を実施する,というところまで行くという。それはすごいことだし,生徒の「自立」とつながるとは思う。そう思う反面,ちょっと恐い気もする。
ま、そうだろうなぁ。同じ影響力をもって違う方向に持っていこうとしたら、いくらでも捩じ曲げられる危うさを、そこから感じるというのはある意味妥当かもしれない。たまたま築地先生が良い意図・目的をもっていたから良かったけど、もし悪意をもって「23分間の奇跡」みたいなことをやろうとしたら簡単だろうなぁという。
まぁ、築地先生に対して否定的な感情をもっていた保護者・生徒もいたしね。教育にしたって、どんな仕事にしたって、あたりまえだけど、万人に良いなんてことはないんだよなぁ、残念ながら。それでも、できるだけ多くの人にと目指して努力する訳ですが。
その他の関連書籍↓
『生きる力をつける授業 カルテは教師の授業を変える 』
『「個を育てる」授業づくり・学級づくり 5つのキーワードで築地学級を読む ネットワーク双書 』