沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

身近なあなたが知らない誰かであるという慰めと希望/伏見憲明 著『団地の女学生』

団地の女学生

他人の全てを知る事など不可能だ。
隣人であれ、家族であれ、親友であれ。
それは当たり前だけれど、私たちはつい忘れて日々を過ごしている。
どんなに親しい仲でも、相手を知ったつもりになっても、ある日いきなり別の顔を見せられる。
その瞬間の驚きや不安定感だけではなく、他人を知り尽くせない事の面白さ、楽しさ、素晴らしさをも、この作品は教えてくれた。
どこにでもいるような人間にも、その人だけの思いと歴史があり、誰にでも、美しいだけではない感情がある。
それらは日常生活の中に埋められて、人前に姿を表さない。
だからこそ、人と関わり、人は生きていけるのかもしれない。