沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

命日

本日、4月30日はヒトラーが自殺した日だそうです。
以前読んだ心理学関係の新書のなかに、ヒトラーの心理について書かれた部分がありました。
その説があっているかどうかは今はおくとして、その著者の言葉で、未だにとてつもなく印象に残っている文章があるので、紹介させてください。
「よく『あんな異常な事をしたヒトラーの心理など、普通の人間にわかるはずがない』という人がいる。
だが、それは間違いだ。そのような考え方こそがヒトラーを神格化している。ヒトラーも私たちと同じ人間だった。同じ人間であるのに、あんな異常な事をしたのだ。それを認め、人間が同じ人間にどうしてあのような事をしたのかを考え、私たちの心の中にもある”ヒトラーの芽”を見つけなければ、第二・第三のヒトラーを私たちは生んでしまうだろう。」



酒鬼薔薇事件で犯人が中学生と判明した直後、TVの偉そうなコメンテーターさんが「私が中学生だった頃には、そんな暗い・異常な事なんて考えもしませんでした」←随分とお気楽な脳の構造をしてらっしゃるとか、「自分で新しい神を作り出すなんて……彼の心理はとても私たちには理解できないですね」とか、「命の重みや思いやりを、もっと子供たちに教えていかなくては」とか、いろいろと馬鹿な(←おっと失礼)発言を繰り返してくださったことは、まだ記憶にはっきりと残っています。その挙げ句、マンガやアニメのせいにしたりね。馬鹿馬鹿しい。じゃあマンガ・アニメで育った世代の人間は、みんな殺人鬼か?漫画家やアニメーターはみんな暴力的な人間か?違うだろ!
私にだって「実際に人を殺してしまう程の気持ち」というものは分かりません(一生分からないままである事を願っています)。そして、私にも「え?なんでそんな事するの?信じらんない」といった言葉を口にしてしまう事があります。
しかし、そういう「理解の及ばない対象を、無縁の事と自分から隔離して安心する」ような姿勢・発言を目にし、耳にし、口にするたび、あの文章を思い出すのです。