沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

難しいことはわからないけど”働く”について思うこと。

本当は、いろんなところにお礼のメールなり連絡なりをしなきゃいけないんですが、文学フリマゼロアカ道場の話題を中断して、再放送前にこっちの話題を。
11/12NHK『福祉ネットワーク』“働く”を問い直す若者たち−発信編−」を見て、思った事をつらつらと。(再放送は11月19日(水)午後1:20〜)
番組では、「フリーターズフリーid:FreetersFree)」や「POSSE」「ロスジェネ」など、ワーキングプアと呼ばれるような若者に向けた雑誌を中心に、情報を発信する側の人たちへのインタビューなどを取り上げていました。
その中で大澤信亮さんが「フリーターの全てが正社員になりたいわけではなくて、かといって、フリーターのままでいいと思っているわけでもなくて、そういう状態の中で不安だけがつのっていって、自傷行為とか攻撃性をためていくとか、という現実があって」ってお話しされてましたが、聞いていて、ホントそうだよねぇ、と思いました。正社員じゃないと、社保とか厚生年金とか雇用保険とかの身分・立場の保障がされないし、いつまでそこで働けるのかもわからないし、給料も高くないし、ものすごく不安定で不安なんだよなぁ。だけど、正社員になったら、こき使われて確実に心身共にボロボロになるって目に見えてるんだよね。私は鬱持ちだから余計に、正社員のキツイ労働を目の前にして「アレは無理(*_*;アレを続けてたら遠からず死ぬ」と思ってたので、先行きは常に不安でした。それでも私は、たまたま”お勉強”ができて、たまたま親が死ぬ時に保険金残してくれたおかげで”高い学歴”も得られたから、まだ教育業界で食っていくことはできてた。正社員じゃなく、契約か派遣かアルバイトだったから、高学歴っていう言葉から連想されるような高収入じゃなかったけど、ちゃんと食えてた。でも、もし学歴がなかったらどうなってたんだろうと思うと、心底、怖い。「後がない」「切実」って言葉も出てきたけど、やっぱり歳をとればとるほど、怖さは増すよね。体力の限界とか、老後の生活とか、これから老いていく親のこととか考えざるを得なくなるから。私は今、すごく楽をさせてもらってるけど、番組を見てたら私の相方*1や友人たちのことを考えちゃって、ため息をついてしまいました。つい最近、そんな話をしたばっかりだよ。
今の問題は、正社員に過分な仕事が課せられていることと、非正規雇用が多いことなんだとしたら、やっぱり現状を変えるには、非正規雇用にも正社員と同等の給料・保障をするor正社員を増やして、(正社員)一人あたりの仕事量を減らして、その分、(正社員の)給与も減らして、全体的なバランスを取る……とか?あー、なんて言ったっけ、そういう考え方を表す言葉が、確か既にあるんだよね?その考え方の欠点は、正社員は自分の給料を減らされるのを嫌がるし、企業の側にはそうすることによるメリットがない、ってことだっけか。おバカですみません。
番組後半では、女性特有の悩み(労働問題)についても触れられていて「(女性なのに労働問題で活動していて)偉いね、って言われる」という話がありましたが、むしろ”均等”という建前で生きているが状況としては建前でしかない現代においては、女性の方が切実に困ってるんじゃなかろうか。少なくとも、こんな現実を前に、とても出産なんて考えられないよな、と思う。ちょっと検索しただけで、滅入るような記事がゴロゴロ出てきますよ。

http://spa.fusosha.co.jp/weekly/ent_7100.php
働く女性の5割は非正規、平均賃金は男性の4割程度。児童扶養手当削減や増税が追い打ちをかけ、場合によってはホームレス化するケースさえ……
格差拡大が進み、貧困率の高さでは今や発展途上国並みとも言われる日本。
年収200万円以下の給与所得者(平成18年度)は、男性9.6%に対して女性は43.6%と、男女格差も大きくなってきています。働く女性のうち非正規雇用が占める割合は53.5%で、男性の18.3%に比べて圧倒的に高い。彼女たちはいま、どんな生活を送っているのでしょうか?
女ホームレス、シングルマザー*2派遣社員etc.男よりも厳しい「オンナの貧困」の実態をリポートしました!

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/jiten/20081016-OYT8T00457.htm
 働いているのに十分な収入が得られない「ワーキングプア」の問題は、特に女性で深刻です。母子家庭の平均年収は237万円(2007年、厚生労働省国民生活基礎調査)で、全世帯平均の567万円の半分にもなりません。先月末には、女性の貧困の解決を目指す新団体「女性と貧困ネットワーク」が設立されました。
 女性の収入が低く、男女間の賃金格差が生まれる要因として、非正規雇用が多いことが挙げられます。中でも、賃金水準が低いパート・アルバイトに、働く女性の4割が集まっています
 女性の管理職登用が少ないのも一因です。係長級は、ようやく1割を超えたものの、部長級はわずか2%。昔からの慣行に加え、結婚、出産で退職する女性が多いことなどを理由に、昇進に前向きでない企業が少なくないことが背景にあると見られます。
 男性に比べ、女性の勤続年数が短いことも、賃金格差の原因になっています。子育てなどで一度退職してしまうと、正社員の職を得るのが難しく、非正規として働く人が多くなり、格差がさらに広がっています。

http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20081109ddm010040029000c.html
 中林座長 「取り組み前の現状と課題」*3に関してですが、出産を機に退職する女性が多く、人材が流出して企業の損失だと気づいて、優秀な人材に長く働いてもらおうと取り組みを始めたという企業が多いですね。
 大久保委員 すばらしいところばかりですが、おおかたの企業の現状とはかなり乖離(かいり)していますね。非正規労働者に対しても同様に取り組んでいるのでしょうか。妊娠中も無理をさせず、育児休業を取ってでも働いてもらいたい貴重な人材だと思っているのは、正社員だけの話ではないですか。派遣社員やパートなど、非正規の従業員まで含めて母性健康管理を徹底しているなら、本当にすばらしいの一言ですが。

そもそも、女性は非正規雇用が多くて、非正規じゃ育児休暇なんてない。子どもが小さい時期は手もかかって働きに出るのも難しいだろうし、そういう状況で雇ってくれるところも少ないだろう。って思うと、少子化も当然だよね。夫の稼ぎも、親の支援もアテにできないとしたら、誰がこんな状況で産みたいと思うのさ。
女性の仕事は、未だに結婚までの腰掛けか、主婦の小遣い稼ぎだと思われているということか。でもさ、「主婦の”小遣い”稼ぎ」どころか「生活のために妻も働く」場合の方が、本当は多いんじゃないだろうか。子どもがいる家庭だったら特に。
確かに、私も結婚(を口実に)退職したさ。でも、正社員になってボロボロになるか、ボロボロになるまで非正規で働き続けるしかないという現状を考えたら、誰だって仕事しなくて済む状況だったら、そうするよね?言い訳かもしれないけど。そういや、確か2005年(私が28歳)の正月に、中高時代の同級生たちと十年ぶりに会ったら、みんなが口をそろえて「30歳になる前に結婚したい」「年取ってまで働き続けるなんて無理」って言ってたけど、そりゃそうだよなと思う。28歳の私は野垂れ死にするまで働くつもりだったから内心「おまえら何て甘っちょろいことを」って思ってたけど(^_^;)。本当は、働いてキャリアを積みたいと思うような仕事なら続けたかったけど、そういう職でもなかったしなぁ。
企業側の採用・昇進における男女の格差が、女性の労働意欲を削ぎ、それがさらに企業側に格差を肯定する材料として見られる……っていう悪循環になってるのかねぇ。
番組では、ワーキングプアな若者は、多くが不条理な目に合っているが何もしなかった、って言ってたけど、女性もそういう現場にあって、声をあげてるのかっていったら、あげてないのかもな。私も一人で声をあげてもなぁ、って思ってたし。でも現実には、男女雇用機会均等法は最近になって改正されてる、つまり(どれだけ現状が改善されているかはともかく)現場の声は国に届いているってことだよね?うーん、そう考えると、若者たちも現場で声を上げていかなきゃ!っていうより、現場の声を聞く機関・団体が政治的に働きかけていくという仕組みの方が現実的・合理的なのかな。いや、私が無知なだけで、既にやってるのかもしれないけど。均等法と一緒で、現状に追いついてない・取り締まれてないだけなのかもしれないけど。でも、たとえばさ。

http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20081109ddm010040029000c.html
 06年の再度の均等法改正により、母性健康管理の措置を求めたことなどを理由とする解雇や不利益取り扱いが、改正法施行の07年4月から禁止された。また、同月から、企業が母性健康管理の措置を講じない場合、厚生労働省都道府県労働局雇用均等室に性労働者が申し出れば、無料で調停などの紛争解決を図る「紛争解決援助制度」が始まっている。

こういうことって、周知されてるの?私は、この記事を読んで初めて知った。労働基準法とかにも、同じような制度ってあったりするのかな。自分を守ってくれる、具体的な対策・手段があるって知ったら、安心じゃない?そういう情報を伝えよう、広めようとしている人たちは確実にいるんだろうけど、ちゃんと必要な人に届けるにはどうしたらいいんだろう。私が今まで切実に必要としてこなかったから知らなかった、というだけならいいんだけど。
「単に慰めるだけじゃなくて、社会に向かわせる・気付かせる言葉があるのかもしれない」「こういう試みがありえるんだということを知ってほしい」って大澤さんが番組の最後に言ってたけど、本当にそう思います。みなさん、ぜひ番組を見てください。
偽善とかじゃなく、「生きていて楽しい・うれしい」って思える人が世の中に増えた方が、結果的に自分の幸せにもつながるしね。これからの私に何ができるかわからないけど、多くの人にとって生きやすいように、世界がちょっとでも変わっていけばいいなぁ。



*4大澤信亮さんの本をアマゾンで買う
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おまえ何て甘っちょろいことを!
自慢かよ、ムカっ(−n−メ)
女性は大変ですよね
男の方が大変だよ!(T_T)

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P.S.Web拍手で心温まるメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。癒されました。

*1:ミツさんでなく。元同居人。

*2:ミヒロ:この記事を読んで「友達がシングルマザーだな」っていうのは思い出したけど、私の母もシングルマザーだったことをすっかり失念しておりました。ゴメンよ、ママン!(笑)そういえばウチも母子家庭だったねぇ。やっぱり大変な時期もあったんだろうか。

*3:ミヒロ注:妊娠中から育児休業後の職場復帰まで、仕事と生活の両立支援を積極的に実施している先進企業7社の事例調査

*4:試しに密林のあひりえいととやらをやってみる。でも続きそうにないかな。。。