沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

「チェーザレ 〜破壊の創造者〜」は芸術的に素晴らしい上に腐女子的にも美味しい。

ルネッサーンス!」な人たちのおかげで、どうも世間的にルネッサンスというと”おフランス”イメージが流布しているような気がしてなりませんが(私だけ?)、本当はイタリアが中心なんだよね。

チェーザレ 〜破壊の創造者〜
新説チェーザレ・ボルジア 本邦未訳『サチェルドーテ版チェーザレ・ボルジア伝』(イタリア語原書)を精査し惣領冬美が描く、華麗なるルネッサンス絵巻。(amazon内容紹介より)

イタリアは当時、小さな国に分かれていて、特に教皇は聖だけでなく俗世界の権力も握っていました。フィレンツェなどイタリアの都市で、文化芸術が盛んになったルネサンスの時代でもあります。
そして物語は、そのフィレンツェ出身で優秀な石工を祖父に持つ少年アンジェロ・ダ・カノッサが、ピサの大学に入学し、十六歳のチェーザレ・ボルジアと腹心の従者ミゲル、ジョバンニ・デ・メディチなどと出会うところから始まります。第一巻は、天然キャラのアンジェロが巻き起こす騒動が中心ですが、二巻以降は徐々に「チェーザレ・ボルジアらしさ」が表れてくる展開となっていきます。詳しくは講談社の公式サイトなどに載ってますので、ぜひご覧ください。
チェーザレもミゲルもアンジェロも美少年で、目の保養にもオススメです。
特に腐女子的には、ミゲルが美味しいキャラだと思います。光源氏チェーザレに対する、惟光+頭中将みたいな存在というか。うーん、他にいい例えが思いつかない。主従という関係はお互いにわきまえていて、決してチェーザレの前には出ず、秀でた武芸で影からチェーザレを守る、忠実で有能な従者でありながら、まるで対等な親友か兄弟のようにチェーザレをからかったり喧嘩したりでき、唯一チェーザレの思考と心を理解できる存在がミゲルなのです。チェーザレ曰く「わたしのために神が遣わした、わたしの分身」だとか。これだけで、ものっすごく腐女子的に美味しい設定だと思いませんか、どうですか。
しかし、おっさん好きな私が激萌えしたのはレオナルド・ダ・ヴィンチ登場人物の誰も彼もがチェーザレ良かれ悪しかれ特別視する中で、そして、誰もチェーザレを超える人がいない中で、唯一チェーザレを超え、チェーザレを年齢相応のただの子供として扱う人なんですよ。もちろんチェーザレの聡明さや美しさ、身分の高さなんかをも認めた上で。エロいわー、レオナルド。声優は、ぜひ中田譲治さんで!というか、私の頭の中では、既にレオナルドの台詞は全て中田譲治さんの声で聞こえてました(笑)。(中田譲治さんは『巌窟王』のエドモン・ダンテスや、『ケロロ軍曹』のギロロ伍長、『戦闘妖精雪風』のブッカー少佐など、セクシーな大人の男を数多く演じておられます。)
ダ・ヴィンチの他にも、マキャベリコロンブスちょい悪ジローラモサヴォナローラなどなど、世界史には欠かせない豪華キャストが登場いたします。世界史が好きな人はもちろん、嫌いな人もきっと楽しめると思います。物語は現在、これから行われるであろう教皇選挙に向け、ボルジア家やメディチ家などが謀略を巡らせております。これを受験勉強で世界史を選択していた高校の頃に読みたかった!!きっと、このマンガで勉強している現役高校生・受験生もいるんだろうなぁ。
世界史をかじったことのある人なら、主人公のアンジェロ・ダ・カノッサという名前を聞けば、「カノッサの屈辱」という、神聖ローマ帝国皇帝=世俗の権威に対し、教皇の優位を示した事件を連想するでしょう。物語の展開を考えると、命名の妙を感じますね。ちなみに神聖ローマ帝国というのは、現在のドイツ方面です。なんて大雑把な地理説明。帝国とか皇帝といっても、やっぱり諸侯が力を持って勝手にやってます。特に力を持っていたのがハプスブルグ家。日本は(室町)戦国時代、中国は明の時代です。ヨーロッパは十字軍などで、東方との接触も増え、作中ではチェーザレの故郷であるスペインで、イスラム勢力からヨーロッパ大陸イベリア半島)を”奪還する”レコンキスタが成ったという描写もあります。でも、「http://macao.softvision.co.jp/dbpwww/」で調べたんだけど、レコンキスタによってグラナダが陥落した直後に、スペインでユダヤ人に改宗or国外退去の命令が出てるんだよね。ユダヤ人であるミゲルが、どのように描かれるのか。というか、それを描くためのスペイン系ユダヤ人という設定だったのかな、もしかして。心を痛めつつ楽しみにしたいと思います。
現在、6巻まで発行されていますが、何巻までいくんだろう。絵も物語も、緻密で繊細で美しく練られています。できることなら、どんなに時間がかかって巻数が増えても、このクオリティのままチェーザレ没まで描き切ってほしいなぁ。

教皇選挙といえば、前教皇ヨハネ・パウロ2世がお亡くなりになって根比べコンクラーベ教皇選挙)の結果、現教皇ベネディクト16世が選ばれたのって……(調べた)2005年かぁ。3年前なのに、もう懐かしい領域です。この一年が濃かったんだろうか。
面白そう!私も好きです
そりゃあレオナルド・ダ・ヴィンチはエロいでしょう。

拍手だけでも送れますポチっとな♪