沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

都条例”非実在青少年”規制

継続審議になって良かった良かった。
著名な漫画家さんたちや出版社が動いたのが効いたのかな。
他にもいろんな方が動いていたようですが、私も3月13日に都議さんへお手紙を出していたので、いまさらながら草稿をさらしてみたいと思います。あ、ちゃんと手紙は直筆で書きましたよ〜。

初めてお手紙いたします。
(略)
このたびは「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正案が否決されるようお願いしたく、お便りいたしました。


私は現在、一ヶ月後に出産をひかえた妊婦です。また、妊娠前は、教育関係の職に就いていました。当然、「青少年の健全な育成」への関心は強いですし、未成年への性的虐待や性的搾取には、悲しみと憤りを感じます。


しかしながら、今回の改正案には、強い疑問と不安をもたざるを得ません。
なにより、議論が尽くされないまま、この改正案が可決されてしまうのは、非常に危険であると考えます。


もちろん、児童ポルノなどの被害にあってしまった未成年者は適切に保護すべきですし、犯罪は厳しく取り締まり、できうる限り未然に防ぐべきです。
しかし、今回の改正案では、実在しない青少年、つまり被害者も加害者も存在しない書籍や映画などの作品まで、規制の対象になります。
しかも、定義などがあいまいで、いくらでも恣意的に解釈が可能です。
このままでは、取り締まる側が気に入らない表現を全て不健全と認定するといった事態にもなりかねません。
そのような規制は、憲法にある「表現の自由」を奪うことになるのはもちろん、多くの出版社などが集まっている東京都で、そのような規制が行われることは、海外からも高く評価され注目されている、日本のコンテンツ産業を圧迫することにもなるでしょう。
(略)これから産まれてくる私たちの子どものためにも、自由な表現が抑圧される社会にはなってほしくありません。


そもそも、青少年が自然にもつべき、性に対する興味を封殺することが、果たして「健全な育成」といえるのでしょうか。
「この作品は有害・不健全である」といった判断は、いったい誰がするのでしょうか。その判断は、本当に可能でしょうか。
マスメディアは、なにかとアニメやマンガ、ゲームなどを槍玉にあげますが、本当にそれらの作品が悪影響を与え、犯罪を増加させたという、信頼できる調査・データがあるのでしょうか。
私には、いたずらに未知なるものを恐怖し嫌悪した末の、短慮と拙速が生んだ改悪案としか思えません。
そのような排他的な態度こそ、この国際化・多様化する世界に、逆行するものです。
どんな少数派・マイノリティであっても生きやすい社会を目指すのが、私たち大人の責務であり、子どもたちに対しても、性に関することも含めて、大らかで豊かな価値観・多様性を肯定し受容する価値観を育むべきだと、私は考えます。


お伝えしたいことは多いのですが、採決まで時間がないようですので、とりいそぎ、これにて失礼いたします。
**先生のご活躍を、陰ながら応援しております。

いっそ廃案にしちまえよ、と思わないでもなかったのですが、議論が続くのは良いことですよね。
うろ覚えですが、レイプを肯定的に表現した作品が受容されている社会では、レイプ犯罪が多いという話もきいたことがあります。
なんでもかんでも規制すればいいってのは乱暴だけど、じゃあ野放しにして個人の良心に任せていればいいかっていうと、それだけで本当に良いのかなぁ、とも考えちゃうんですよね。難しいなぁ。
だからこそ、きちんとした議論が続けられて、できるだけマシな妥協点に落ち着くとよいなと思うのでした。


でも、都がやるべきは、多様な表現を叩くより、まず性教育だよね。それでガチガチに石原的な”健全な育成”をされても困るけどさ。