沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

ジン『解読不能』を”国語”の視点で擁護する?

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……と、いろんなトコロで取り上げられてますが。
そこまで大騒ぎするほど「解読不能」で日本語じゃない滑舌かぁ?最近の日本語の曲なんて、どれもこんなモンでは?むしろ、これだけ歌詞が正確に聞き取れるんだったら御の字じゃない?と思ったので。


実験してみた。


実験内容:自分で歌って、録音したものを、自分で聞いて歌詞がちゃんと発音できているか確認する、という、酔った勢いでもなきゃできない一人羞恥プレイ。(問題ないなら音をアップしてもいいですが。。。マズイよね?たぶん。いや、むしろ酔いがさめた時に、ものっすごい後悔しそうだ、ソレ。)



結論:わざと聞きとりにくい日本語を選んで使ってるんだから、聞き取れなくって当たり前 orz


ええと、言葉*1をハッキリと歌おうとすればするほど、難しい歌でした。
もう、これは、一回聴いただけで歌詞が全て聞き取れるようには、はなっから作ってないです。歌詞を知りたければ歌詞を読め、ということでしょう。むしろ、一回聴いただけでは何だかさっぱり訳がわからないんだけど、なんだか耳に引っかかる・インパクトのある・印象に残る声だなぁ、って思わせるための曲と歌詞なんではないでしょうか。つまり、みなさん、みごとに狙いどおりの反応、と。実際、私なんかが歌っても、ちっとも面白くもないですよ、たぶん。ボーカリストに必要なのは、軽く周りが見えなくなるくらいの自己愛と、下手すればドン引きするくらいのアクの強さだと私は思ってます。私にゃ無理だ、凡人だもの。
国語の講師としては、妙な英語を使って逃げずに、きちっとすべて日本語詞にした点を高く評価したいと思う次第です。いや、日本語で相容れない主張をされると鬱陶しいので*2、それならいっそ英語詞で歌詞なんか聞き取れなくっていいよ、と個人的な趣味としては思いますが。それはともかく。
さて問題の歌詞ですが。
等間隔・時間間隔というような言葉は、どちらかといえば書き言葉であって、話す場合には文脈で補わないと意味が通じないんではないでしょうか。音読みであって、訓読みじゃない訳です。
それでも、まだ「とうかんかく に おく」「じかんかんかく が くるう」「とうしんだい の ぼく」というような歌詞だったら、「おく」「くるう」「ぼく」という言葉からの類推で意味が通じる(=聞き取れる)でしょうが、「とうかんかく」だの「じかんかんかく」だの「とうしんだい」だのを単独で取り出して使っているので、文脈からの類推ができず、わかりづらくなってるんですよね。
聞く側も、そんな言葉がまさか単独で歌詞に出てこようとは思っていないから、よけいに聞こえないんだと思います。これが「かなしみ」とか「ひかり」とか「さみだれ*3みたいな単語だったら、容易に聞き取れるでしょう。
そこを敢えて、聞いただけではわからない使い方をしてるんでしょうね、きっと。
ふだん話す時には使わないような言葉を多用し、ある意味”詩的”な言葉づかいである、とも言えるかもしれません。
それから、これは、現代の日本語(曲)全般に言えることですが、英語風に語尾の音を発音しなくなってる*4んですよね。聞き取りづらいんだけど、語尾をハッキリ発音すると、きっとカッコ悪い感じがするんでしょう。なんだったら他の曲で試してみて下さい。
この曲の場合だと、「とうかんか」とか「くうか」「とうしんだ」とかが、それに当たりますね。語尾が消える消える。「とうかんかく」でもわからないですが「とうかんか」じゃ余計にわからないんですね。まぁ、それも日本語が変わっていくことによって、普通のことになっていくのかもしれません。そのうち、ふだんの話し言葉でも、語尾の「る」「く」「ん」などが省略されたり弱く発音されるようになるかも。*5
メロディへの歌詞の当てはめ方も、かなり難しいことになってます。
そりゃ、前後の脈絡もつかめないのに、あれだけのばして発音したら、そりゃ「くうー」「かああ〜ああ〜ん」って聞こえるよなぁ、という話ですね。「きれ」「いに」「かた」「ほーだけ」の、音の切り方というか伸ばし方というか休符の入れ方も、空耳の原因ですね。しかし、それを言うなら、宇多◎ヒカルの「よるわたば」「このふれー」も相当だったと思います。初めてアレを聴いたときには、それこそ「えっ?!日本語?!”たば”って何?”このふれぃ”って???」って思いました。私だけですかね?(^^;


ま、そんな訳で、コードギアスを観たことの無い・思い入れの無い人間にとっては、「解読不能」も”ふつうに””日本語の曲”でしたよ、というお話でした。さて、擁護になってんだか、なってないんだか(笑)。



羞恥プレイ乙擁護……?
ちょっとソレ聞いてみたいw

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*1:とくに語尾

*2:たとえば典型的な応援ソングは、偽善臭がしてダメな場合がある。広瀬●美も、あの高い独特の声も苦手だけど、歌詞が気持ち悪いし怖いと感じてしまう。アレを一回フルコーラスで聞かされるくらいなら、ジンを100万回でも聞きますよ。ああ怖い。

*3:なんか演歌っぽい単語の並びだな〜

*4:正確に言うと、英語風に、語尾の音の母音を発音せず、無理矢理子音だけ発音しようとしている、が、下手すると語尾ごと全滅することになる、ということ。

*5:ちなみに、意識的に語尾の英語化をやったのが、サザンの「愛の言霊」だったと思われます。「せりふ”とゎ”」「ほしの”そぅゎ”」と、語尾を縮めて韻を踏んだんですね。あれは面白い曲でした。ときどき今でもカラオケで歌います。